冬うらら2
☆
おーお、無理してるな。
ソウマは、カメラの中の新郎の表情に注目していた。
新婦には耐えられることでも、この男には耐えられないことが、この空間には山ほど用意されているのだ。
何とか、新婦にケーキを食べさせ終えたカイトは、今にも心不全で倒れそうな様子だった。
緊張なのか興奮なのか分からないが、呼吸が乱れている。
しかし、彼はカメラから目を離したりしなかった。
指輪の交換の時のしくじりが、まだ尾を引いているのだ。
あの失態のせいで、ハルコに残念な顔をさせてしまった。
なのに、シュウが見事に撮影したという話を聞いて、ぱっと表情が明るくなった。
ムッ。
頼れる夫としては、これ以上の失敗は許されないのだ。
「では、次に新婦から新郎に…」
ふっふっふ。
ソウマは気を取り直して、シャッターに乗せた指に力を込めた。
いつでも、指を踏み込ませる用意をしているのだ。
あのカイトが―― ケーキを食べる。
その決定的瞬間は、絶対にカメラに納めなければならないのである。
あのカイトが、あのカイトが!!!
何度も言うが、本当にその言葉に尽きる。
甘いもの嫌いの彼が、というのもあったが、人前で女にケーキを食べさせてもらうという、スペシャルな条件が777ほど揃っているのだ。
こんなことは、本当に一生に一度だけだろう。
他の環境であれば、絶対にカイトがその条件を飲むことはない。
だが、今日の相手はメイである。
絶対、ケーキを食べる―― に、全財産賭けたってよかった。
手袋を外したメイの白い指が、震えるような動きでケーキを取る。
もう片方の手を、ケーキの屑がこぼれないように添えると、そっとカイトの方に運ぶのだ。
おーお、無理してるな。
ソウマは、カメラの中の新郎の表情に注目していた。
新婦には耐えられることでも、この男には耐えられないことが、この空間には山ほど用意されているのだ。
何とか、新婦にケーキを食べさせ終えたカイトは、今にも心不全で倒れそうな様子だった。
緊張なのか興奮なのか分からないが、呼吸が乱れている。
しかし、彼はカメラから目を離したりしなかった。
指輪の交換の時のしくじりが、まだ尾を引いているのだ。
あの失態のせいで、ハルコに残念な顔をさせてしまった。
なのに、シュウが見事に撮影したという話を聞いて、ぱっと表情が明るくなった。
ムッ。
頼れる夫としては、これ以上の失敗は許されないのだ。
「では、次に新婦から新郎に…」
ふっふっふ。
ソウマは気を取り直して、シャッターに乗せた指に力を込めた。
いつでも、指を踏み込ませる用意をしているのだ。
あのカイトが―― ケーキを食べる。
その決定的瞬間は、絶対にカメラに納めなければならないのである。
あのカイトが、あのカイトが!!!
何度も言うが、本当にその言葉に尽きる。
甘いもの嫌いの彼が、というのもあったが、人前で女にケーキを食べさせてもらうという、スペシャルな条件が777ほど揃っているのだ。
こんなことは、本当に一生に一度だけだろう。
他の環境であれば、絶対にカイトがその条件を飲むことはない。
だが、今日の相手はメイである。
絶対、ケーキを食べる―― に、全財産賭けたってよかった。
手袋を外したメイの白い指が、震えるような動きでケーキを取る。
もう片方の手を、ケーキの屑がこぼれないように添えると、そっとカイトの方に運ぶのだ。