冬うらら2

 メイは。

 はにかむように笑った後。

 その唇が。


「社長! おめでとうございます!!!」


 どやどやどやどや。

 徹夜明けで濁った目のくせに、酒が入ってすっかりハイテンションになってしまった―― 開発部連中の襲撃の声に邪魔されて。

 一番気になっていた言葉を、彼は聞くことができなかった。

 あわや。

 ワイングラスは、彼の握力で砕け散るところだった。
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