冬うらら2

 やっと、友達と話す時間が見つかった。

 式の時も披露宴が始まった時も、メイには新婦として、やらなければならないことがあって、それどころではなかったので、ほとんどの友達と話せていなかったのだ。

 こうやって、彼女らのきゃいきゃいとした声に囲まれていると、学生時代に逆戻りをしたような気になった。

「ねぇねぇ…彼ってどういう人??」

 いろんな質問や話題の中に、そんな言葉が飛び出した。

 メイは、ちらりと隣を見る。

 カイトは、他の知り合いの人と話をしているようだった。

 そういえば、あの偉そうな人は、見覚えがあるような。

 確か、大学の教授とか。

 思い出したのは、カイトに来た見合い話。

 でも、彼は怒って教授を追い出してしまった。

 あの時は―― ううん、そんなの考えすぎ。

 一瞬よぎった可能性に、メイはぷるんと首を横に振った。

 改めて、いまのカイトの様子を見ると、明らかに機嫌が悪そうで。

 最初から、余り仲がよくなかったのだろう。

「カイトは…」

 隣に聞こえないくらいに声をひそめて、彼女は唇を開いた。

 一言で、彼のことを言い表す自信はない。

 最初から、余りに常識外れなことばかりが続いて、一体カイトがどういう気持ちだったかなんて、想像しようとしても難しすぎたのだ。

 ただ、彼は不器用だったが、優しかった。

 言葉はメチャクチャだったけれども、その奥深くにはいつも優しい気持ちを見つけることが出来たのだ。

「カイトは…すごく優しいの」

 でも。

 こういうと、かなり意外そうな表情が返ってきた。

 友人たちは、全員ちらりと横目で新郎の方を見るのである。

 ちなみに、彼女らの大部分は、結婚式から参列をしてもらっている。

 だから―― あの時の行動全てを、見てしまっているのだ。
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