冬うらら2
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自分から母親の目が離れる瞬間を、ユウは見逃さなかった。
ぱっと席から飛び降りると、体育の時間でもやらないようなダッシュで、座席の間を駆け抜けたのだ。
ユウなりの推理で、鋼南電気の社員がいそうな席は目をつけてあった。
あの、乾杯の時の長話をした人が、副社長と言われていたのを、しっかりと覚えていたのである。
だからその付近が、みんな社員なのだろうと睨んでいたのだ。
たたっと酔った人波をすり抜けて、男の人たちが数多く座っている席にたどりつく。
前の方には、かなりのオジサンたちばかりだ。
その人たちが、ゲームを作っているところを想像できなかったユウは、もうちょっと後ろの方の、若いオジサンたちを狙おうと思った。
が、しかし。
席に残っている人のほとんどが、どろんとした目で酒を酌み交わしていて、覗き込んだユウをビクリとさせたのだ。
その席も、半分は空いているということは、どこかに行ってしまったのだろう。
本当にこの人たちなんだろうか、と心配になって周囲をウロウロしていると、彼らの話の内容が耳に入ってくる。
かなりオタクくさく、なおかつゲームに関する話題のように思えて、ユウは確信した。
「ねえねえ、おじさんたちがKO-NANのゲーム作ってるの??」
一度標的を定めた瞬間、ユウは相手が陸揚げマグロの目をしていることなんか、スカーンと抜け落ちて、いつものパワーで飛び込んで行った。
日頃、遠い存在であるゲームの制作サイドと会える日が来るなんて、夢のようだった。
それもこれもメイが、その会社の社長さんと結婚したおかげである。
まあ、それに関していえば、ユウなりに複雑なところはあったのだ。
子供の頃から、自分をとても可愛がってくれて。
本当の姉のように思っていた存在が、いきなりいなくなって、なおかつ知らない男の人と結婚するというのである。
複雑じゃない方がおかしいだろう。
しかし、こんな特典がついてくるとは思わなかった。
自分から母親の目が離れる瞬間を、ユウは見逃さなかった。
ぱっと席から飛び降りると、体育の時間でもやらないようなダッシュで、座席の間を駆け抜けたのだ。
ユウなりの推理で、鋼南電気の社員がいそうな席は目をつけてあった。
あの、乾杯の時の長話をした人が、副社長と言われていたのを、しっかりと覚えていたのである。
だからその付近が、みんな社員なのだろうと睨んでいたのだ。
たたっと酔った人波をすり抜けて、男の人たちが数多く座っている席にたどりつく。
前の方には、かなりのオジサンたちばかりだ。
その人たちが、ゲームを作っているところを想像できなかったユウは、もうちょっと後ろの方の、若いオジサンたちを狙おうと思った。
が、しかし。
席に残っている人のほとんどが、どろんとした目で酒を酌み交わしていて、覗き込んだユウをビクリとさせたのだ。
その席も、半分は空いているということは、どこかに行ってしまったのだろう。
本当にこの人たちなんだろうか、と心配になって周囲をウロウロしていると、彼らの話の内容が耳に入ってくる。
かなりオタクくさく、なおかつゲームに関する話題のように思えて、ユウは確信した。
「ねえねえ、おじさんたちがKO-NANのゲーム作ってるの??」
一度標的を定めた瞬間、ユウは相手が陸揚げマグロの目をしていることなんか、スカーンと抜け落ちて、いつものパワーで飛び込んで行った。
日頃、遠い存在であるゲームの制作サイドと会える日が来るなんて、夢のようだった。
それもこれもメイが、その会社の社長さんと結婚したおかげである。
まあ、それに関していえば、ユウなりに複雑なところはあったのだ。
子供の頃から、自分をとても可愛がってくれて。
本当の姉のように思っていた存在が、いきなりいなくなって、なおかつ知らない男の人と結婚するというのである。
複雑じゃない方がおかしいだろう。
しかし、こんな特典がついてくるとは思わなかった。