冬うらら2

「まあまあ、このオジサンは大人だからね…子供で42秒って話は初めて聞いたよ…すごいね」

 幸い。

 横から、別のオジサンがフォローしてくれた。

 それで、ぱっとユウの気持ちは跳ね上がった。

 そうなのだ。

 オジサンたちは大人で、なおかつゲームを作っている人なのだ。

 だから、ユウより早く倒す方法を裏技として知っていても、おかしくないのである。

 攻略本にも書いてなかった、1分を切る倒し方を、自分で思いついたのだから、ユウはすごく偉いのだ。

「そうだよね! ユウすごいよね!!!!」

 キーンキン。

 甲高い大きな声で喜ぶと、オジサンたちは不思議なことに、頭を抱えてうなだれてしまった。

「ねえねえ、次の新しいゲームは、どんなの? どんなの?? 『BADIA Ver.2』でしょー! またマリア出てくるの?? それとも、世界自体全然違うようになっちゃうの?? モンスター分解システムは……」

 テンションも上がって波に乗ったユウは、開発チームたちに質問の矢を一斉に浴びせかけた。


「ユウ!!!」


 が。

 彼の甲高い大きい声は、とてもいい目印になってしまったのだ。

 その強い呼び声を―― 聞き間違うハズがなかった。

 そして、振り返るよりも先に、短気で強い力がユウの襟首を掴んだのである。

「この子は! この子は!!!!」

 パンパンパン!!!!!

 ユウは、視界に☆を飛ばすこととなった。

 往復ビンタが飛んできたのだ。
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