冬うらら2
☆
お色直しと告げられて、ソウマはふっと視線を高砂の方に向けた。
ちょうど、鋼南電気の第一チーフに酌をしながら、カイト社長の会社での態度などを、聞き出している時のことである。
チーフが言うには、やはりカイトの態度は、はっきりと変化しているという。
いままでだったら、泊まりになるような仕事であっても、必ず家に帰るようになったし、指輪のエピソードも聞いた。
やっぱりなぁ。
カイトが、自分で思いついて指輪を買いに行く男とは思えなかった―― その予想は的中だったのだ。
チーフが指輪の話をして数日後から、カイトの薬指にリングがキラン☆、だったらしい。
それを聞いた瞬間と、その後のカイトの行動が、見たくてしょうがなかった。
きっと、大慌てで宝石店に駆け込んだに違いない。
指輪なんて、自分から望んではめなさそうなヤツが、今では、もう二度と外したくなさそうな態度ばかりとって、ソウマを喜ばせてくれる。
チーフと名刺の交換をした。
こうしておけば、何かあった時に話を聞くことが出来るかもしれない、と下心アリの行動だった。
しかし、これがヤブヘビとなる。
向こうは、名刺を見ると、「あぁ」という顔をしたのだ。
仕事柄、鋼南電気の会社に出入りすることの多いソウマだったので、顔を見られたことや、名前くらい知られていたのだろう。
そうであっても、不思議ではなかった。
しかし、チーフが口にしたのは、経営コンサルタントとしての彼ではなかった。
「あなたが、あの有名な……」
含み笑いつきで、そんなことを言われたのだ。
一体、自分があの会社で何をしたのかと、一瞬考え込んだソウマだったが―― 思い出してしまった。
そうなのだ。
彼は、たった一度だけ、あの会社でポカをやらかしているのである。
お色直しと告げられて、ソウマはふっと視線を高砂の方に向けた。
ちょうど、鋼南電気の第一チーフに酌をしながら、カイト社長の会社での態度などを、聞き出している時のことである。
チーフが言うには、やはりカイトの態度は、はっきりと変化しているという。
いままでだったら、泊まりになるような仕事であっても、必ず家に帰るようになったし、指輪のエピソードも聞いた。
やっぱりなぁ。
カイトが、自分で思いついて指輪を買いに行く男とは思えなかった―― その予想は的中だったのだ。
チーフが指輪の話をして数日後から、カイトの薬指にリングがキラン☆、だったらしい。
それを聞いた瞬間と、その後のカイトの行動が、見たくてしょうがなかった。
きっと、大慌てで宝石店に駆け込んだに違いない。
指輪なんて、自分から望んではめなさそうなヤツが、今では、もう二度と外したくなさそうな態度ばかりとって、ソウマを喜ばせてくれる。
チーフと名刺の交換をした。
こうしておけば、何かあった時に話を聞くことが出来るかもしれない、と下心アリの行動だった。
しかし、これがヤブヘビとなる。
向こうは、名刺を見ると、「あぁ」という顔をしたのだ。
仕事柄、鋼南電気の会社に出入りすることの多いソウマだったので、顔を見られたことや、名前くらい知られていたのだろう。
そうであっても、不思議ではなかった。
しかし、チーフが口にしたのは、経営コンサルタントとしての彼ではなかった。
「あなたが、あの有名な……」
含み笑いつきで、そんなことを言われたのだ。
一体、自分があの会社で何をしたのかと、一瞬考え込んだソウマだったが―― 思い出してしまった。
そうなのだ。
彼は、たった一度だけ、あの会社でポカをやらかしているのである。