冬うらら2

「何かあったのか?」

 小声で、隣のハルコに囁く。

 彼女も気づいていたようで、小さくため息をついた。

「あなたのせいかもよ…」

 しかし、彼女の美しい唇から出てきたのは、そんなつれない言葉だった。

 オレの?

 ソウマは、心当たりを探った。

 まだ友人代表は終わっていないのだから、その内容でトラブルが起きたとは思えない。

 が。

「あ…」

 さっきのか?

 カイトの会社関係の男と一緒に、ちょっとひやかしたことを思い出す。

 そりゃあもう、『ちょっと』だけ。

 それくらい、幸せな新郎にしても許されると思っていた。

 今日のカイトは、無茶なことはいろいろしたが、破格に我慢強かったので。

「ちょっと見てこよう」

 ソウマは、席を立った。
< 496 / 633 >

この作品をシェア

pagetop