冬うらら2
☆
「こんなことは、前代未聞ですよ…」
会場を出ると、端の方で。
「どうしましょうか…キャンドルサービス」
「どうしようもこうしようも……」
これだけの会話で、既にソウマは分かってしまった。
はぁと、天井を仰ぐ。
あの男は―― 逃げちらかしたのだ。
しかも。
間違いなく、新婦も連れ去ったのである。
あの男が、一人で逃げることなど絶対にないのだから。
やられた。
すごい形相で睨んで出ていった時に、監視をつけておくべきだったと、ソウマは激しく後悔した。
そう言えば、ただならぬオーラをまき散らしていたし。
まったく。
ソウマは、眉間に一本シワを寄せたまま、席に戻ってきた。
ハルコは、ちょうどナプキンで口元を軽く押さえているところで。
その白い布をあてたまま、視線だけで彼を追いかける。
いつもなら、見つめられるのはとても嬉しいことなのだが。
「顔に書いてあるわ」
何も聞かずに、ハルコは一言だけそう言った。
察しの良さは、世界一の妻だった。
「こんなことは、前代未聞ですよ…」
会場を出ると、端の方で。
「どうしましょうか…キャンドルサービス」
「どうしようもこうしようも……」
これだけの会話で、既にソウマは分かってしまった。
はぁと、天井を仰ぐ。
あの男は―― 逃げちらかしたのだ。
しかも。
間違いなく、新婦も連れ去ったのである。
あの男が、一人で逃げることなど絶対にないのだから。
やられた。
すごい形相で睨んで出ていった時に、監視をつけておくべきだったと、ソウマは激しく後悔した。
そう言えば、ただならぬオーラをまき散らしていたし。
まったく。
ソウマは、眉間に一本シワを寄せたまま、席に戻ってきた。
ハルコは、ちょうどナプキンで口元を軽く押さえているところで。
その白い布をあてたまま、視線だけで彼を追いかける。
いつもなら、見つめられるのはとても嬉しいことなのだが。
「顔に書いてあるわ」
何も聞かずに、ハルコは一言だけそう言った。
察しの良さは、世界一の妻だった。