冬うらら2
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二人とも、声はない。
ただ、どこか微かにうわずったような小さな呼吸音だけが、エレベーターの音にかき消されながらも、確かに二人の唇の中には息づいていたのだ。
どうして?
それを、本当はメイは聞こうと思っていたのだ。
これから、どこに行くつもりなのかも。
なのに。
この狭い箱の中で二人きりでいると、そんな言葉を口にすることも出来ない。
ただ、彼女が深く吐いた息で―― 一瞬、鏡の中の自分が白くくもり、カイトの表情を隠した。
その瞬間に、ざぁっと不安が津波のように押し寄せ、メイは振り返ろうとした。
すぐそこにいる彼を見つめて、どういう気持ちなのかを、直接推し量ろうとしたのだ。
けれども、それよりも先に、腕が。
ドレスの形なんか、構ってもいない強い腕が、後ろからメイを抱きすくめた。
あ。
鏡の中の。
白いくもりが、晴れていく。
自分を抱きしめるカイトが見――
チン!
鏡の中の、扉が開いてしまった。
二人とも、声はない。
ただ、どこか微かにうわずったような小さな呼吸音だけが、エレベーターの音にかき消されながらも、確かに二人の唇の中には息づいていたのだ。
どうして?
それを、本当はメイは聞こうと思っていたのだ。
これから、どこに行くつもりなのかも。
なのに。
この狭い箱の中で二人きりでいると、そんな言葉を口にすることも出来ない。
ただ、彼女が深く吐いた息で―― 一瞬、鏡の中の自分が白くくもり、カイトの表情を隠した。
その瞬間に、ざぁっと不安が津波のように押し寄せ、メイは振り返ろうとした。
すぐそこにいる彼を見つめて、どういう気持ちなのかを、直接推し量ろうとしたのだ。
けれども、それよりも先に、腕が。
ドレスの形なんか、構ってもいない強い腕が、後ろからメイを抱きすくめた。
あ。
鏡の中の。
白いくもりが、晴れていく。
自分を抱きしめるカイトが見――
チン!
鏡の中の、扉が開いてしまった。