冬うらら2
●
な…何が、どうしたの??
メイはと言えば、1人階段の前で立ちつくしていた。
どこの階段かなんて、言うまでもない―― 自宅の階段の前だ。
彼らは、帰ってきてしまったのである。
しかも、披露宴の途中で抜け出して。
ウェディングドレスのまま。
カイトは、庭に待たせているタクシーに、金を払いに行ってしまった。
本当に、着の身着のままで帰ってきてしまったので、サイフ一つ持っていなかったのだ。
ぼーぜん。
うまく頭が働かないまま、メイは少し髪の乱れたウェディングドレス姿で、そこに立っていることしか出来ない。
これから、何をするかとか、どうしたらいいかとか、全然思い浮かばないのだ。
それどころか、すっぽかして来た披露宴が、今一体どうなっているかなんて、怖すぎて考えることも出来なかった。
ただ、自分たちがとんでもないことをしてきたのだけは、はっきりと分かっていた。
ガチャッ。
短気な玄関のドアを開ける音と同時に、タクシーが走り去っていく。
あ。
メイは、彼を見た。
顔を顰め、タキシードの襟元を力任せに緩めた姿で、カイトが彼女の目の前まで戻ってくるのだ。
その荒っぽい様子に、胸がドキッとした。
エレベーターで感じた時のような、あの気配が、彼の中からたくさんあふれ出していて。
それが、まっすぐに彼女に向かってくるのだ。
まったく、よそ見もせずに。
どうして?
今度こそ聞こうと思って喉まで出かかった言葉が、またも呼吸と共に一瞬止まる。
抱きしめられる!
それが、はっきりと、分かった。
瞬間的に身体が緊張して、その衝撃に耐えようとした。
けれど。
あんなに激しく抱きしめられることまでは―― 予測できなかった。
な…何が、どうしたの??
メイはと言えば、1人階段の前で立ちつくしていた。
どこの階段かなんて、言うまでもない―― 自宅の階段の前だ。
彼らは、帰ってきてしまったのである。
しかも、披露宴の途中で抜け出して。
ウェディングドレスのまま。
カイトは、庭に待たせているタクシーに、金を払いに行ってしまった。
本当に、着の身着のままで帰ってきてしまったので、サイフ一つ持っていなかったのだ。
ぼーぜん。
うまく頭が働かないまま、メイは少し髪の乱れたウェディングドレス姿で、そこに立っていることしか出来ない。
これから、何をするかとか、どうしたらいいかとか、全然思い浮かばないのだ。
それどころか、すっぽかして来た披露宴が、今一体どうなっているかなんて、怖すぎて考えることも出来なかった。
ただ、自分たちがとんでもないことをしてきたのだけは、はっきりと分かっていた。
ガチャッ。
短気な玄関のドアを開ける音と同時に、タクシーが走り去っていく。
あ。
メイは、彼を見た。
顔を顰め、タキシードの襟元を力任せに緩めた姿で、カイトが彼女の目の前まで戻ってくるのだ。
その荒っぽい様子に、胸がドキッとした。
エレベーターで感じた時のような、あの気配が、彼の中からたくさんあふれ出していて。
それが、まっすぐに彼女に向かってくるのだ。
まったく、よそ見もせずに。
どうして?
今度こそ聞こうと思って喉まで出かかった言葉が、またも呼吸と共に一瞬止まる。
抱きしめられる!
それが、はっきりと、分かった。
瞬間的に身体が緊張して、その衝撃に耐えようとした。
けれど。
あんなに激しく抱きしめられることまでは―― 予測できなかった。