冬うらら2
♪逃避行の……頃

 姉妹漫才をクリアすると、ようやく1号の心も溶け、フォーマルな服を借りられることになった。

 しかし、借りるだけでは済まなかった。

 気がつけば、二人がかりでハナのファッションコーディネーターとなっていたのだ。

 やれムースだ、マスカラだ、マニキュアだ。

 自分と同じような顔なのに、いじって楽しいのだろうか―― それが、ハナには不思議だった。

 まあ、自分で化粧する手間は省けていいかもね。

 横柄な態度で、彼女はメイクアップアーティストたちに、自分の身体を預けたのだった。

「こんなのでどう???」

 自信作、と言わんばかりに、ツキが手鏡を見せてくれる。

 うっ。

 何というか。

 1号の可愛いメイクと、2号の明るいメイクが、ほどよく顔の上で融合してしまっているのだ。

 ハナの売りよりも、もうちょっとキュートな路線に踏み込んでいた。

 ピンクオレンジの世界である。

「ええー、もうちょっとイイ女に見えるようにしてよー!」

 これでは、ちょっと頭悪そうな女に見えるではないか。

 第一にはい上がるために、コウノに食ってかかろうとする女の顔ではなかった。

「そうかなぁ…可愛いと思うんだけど」

「ほら、この子…キャリアウーマン目指してるから」

 頭の上で、二人勝手なことを言ってくれる。

 別に、ハナはキャリアウーマンを目指しているワケではない。

 素晴らしい、ゲームデザイナーになりたいのだ。

 KO-NANにハナあり、と言われたいのである。
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