冬うらら2
♪
もし会社を辞めると言えば、今は引き留められることはないだろう。
しかし、売れっ子デザイナーになれば、あのコウノが泣いてすがって、「行かないでくれ」と引き留めるかもしれない。
それほどの、存在になりたかったのだ。
だから、そういうメイクにしてくれ、と思っているワケで。
「うーん、しょうがないわねぇ」
リムーバーをコットンにつけながら、せっかくの傑作を残念そうに、二人で落としていく。
目を閉じて仮面をはがされながら、しかし、今日はもう一つの野望があることを、ハナは忘れていなかった。
朝からずっと、彼女の心を捕らえて離さない存在。
コウノヅマ。
そう。
今日のメインイベントは、そのコウノヅマを見に行くことである。
もしかしたら、同業者の女性かもしれない。
はたまた、ネットで名を馳せている人かもしれない。
何より、あのコウノの性格と、付き合っていこうと思う女性なのだ。
相当の神経の太さか、才能が要求されるのではなかろうか。
頭の中に、ハナは何度となく画像を思い浮かべてみた。
しかし、あのコウノの横に立っている女性の姿は、どうしても想像出来なかったのである。
フェイントかけて、ヤン系だったらどうしようかな。
コウノが披露宴に誘ってさえくれていれば、今頃はどんな女性か見ていたに違いないのに。
うう。
どっかで、披露宴のビデオ裏入手できないかしら。
余計なことを考えながら、彼女は二人の姉によって、キャリアウーマンメイクを施されていた―― が、やはり、微妙に希望の顔とは違うのだ。
「却下!」
一言で切り捨てて手鏡を突っ返すと、2号にゴチンとやられてしまった。
そんな姉たちの感性の違いと戦いながら、近づいてくる二次会に、ハナは誓ったのだ。
首洗って待ってなさいよー! コウノヅマ!!
もし会社を辞めると言えば、今は引き留められることはないだろう。
しかし、売れっ子デザイナーになれば、あのコウノが泣いてすがって、「行かないでくれ」と引き留めるかもしれない。
それほどの、存在になりたかったのだ。
だから、そういうメイクにしてくれ、と思っているワケで。
「うーん、しょうがないわねぇ」
リムーバーをコットンにつけながら、せっかくの傑作を残念そうに、二人で落としていく。
目を閉じて仮面をはがされながら、しかし、今日はもう一つの野望があることを、ハナは忘れていなかった。
朝からずっと、彼女の心を捕らえて離さない存在。
コウノヅマ。
そう。
今日のメインイベントは、そのコウノヅマを見に行くことである。
もしかしたら、同業者の女性かもしれない。
はたまた、ネットで名を馳せている人かもしれない。
何より、あのコウノの性格と、付き合っていこうと思う女性なのだ。
相当の神経の太さか、才能が要求されるのではなかろうか。
頭の中に、ハナは何度となく画像を思い浮かべてみた。
しかし、あのコウノの横に立っている女性の姿は、どうしても想像出来なかったのである。
フェイントかけて、ヤン系だったらどうしようかな。
コウノが披露宴に誘ってさえくれていれば、今頃はどんな女性か見ていたに違いないのに。
うう。
どっかで、披露宴のビデオ裏入手できないかしら。
余計なことを考えながら、彼女は二人の姉によって、キャリアウーマンメイクを施されていた―― が、やはり、微妙に希望の顔とは違うのだ。
「却下!」
一言で切り捨てて手鏡を突っ返すと、2号にゴチンとやられてしまった。
そんな姉たちの感性の違いと戦いながら、近づいてくる二次会に、ハナは誓ったのだ。
首洗って待ってなさいよー! コウノヅマ!!