冬うらら2

「あぁ…あの、な」

 主役不在のまま、二次会に行くメンバーが続々と決定していく中、ソウマが言いにくそうに声をかけてきた。

 こんな、濁った言葉を語りかける人ではないだけに、ハルコは不思議な目で彼を見てしまう。

「二次会に行く気か?」

 やっぱり、まだ濁っている。

 しかも、言うにことを欠いて、まるで二次会に行くのがイヤみたいなニュアンスなのだ。

 ますますおかしい。

「どうして? せっかく来たんですもの。久しぶりに秘書の人たちと話もしたいし…ダメなのかしら?」

 今更、彼女の身体のことを、気遣っているとも思えなかった。

 それなら、今までの方がよほど、止められて然るべきことをしてきたはずだ。

 何を隠しているの?

 じっと瞳を覗き込む。

 ソウマは、困った笑いになった。

「いや…別にダメというワケでは」

 まだ濁っているし、視線もそらす。

 珍しい態度だ。

 いつもなら、こんな態度を取る人ではないのに。

 さっきまでのスピーチで、疲れでもしたのかと思ったが、そういうタイプでもなかった。

「さすがに、今日はカイトくんのところに押し掛けるのは、気が引けてよ」

 いまどこにいるかさえ定かではないが、多分、彼の性格からして、家に帰っているのではないだろうか。

 そんな二人の邪魔をするなんて、野暮どころの話ではなかった。

 あのカイトが、あそこまで我慢をしたのだから、メイと幸せな時間をたっぷり送ってもバチは当たらないだろう。
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