冬うらら2

「シュウも、二次会にこない?」

 そんなハルコの言葉には、副社長は不満だった。

 何しろ今日の披露宴は、彼にとっては不本意な結末を迎えてしまったのだ。

 このまままっすぐ自宅に直行し、社長の取った態度が、これからの社の経営にどういう風に影響をもたらすのか、一言告げておく必要があった。

 イレギュラー要素を含めても、カイトは自宅に帰っている可能性が高かったのだ。

「いえ…私は」

 だから、拒否の言葉を選ぼうとしたのだ。

「いいの? WANTED CORPORATIONの社長も、二次会に来るらしいわよ……開発の人間だけで、応対させても大丈夫かしら?」

 それでいいのなら、無理に誘わないんだけど。

 しかし、ハルコの出した切り札は、シュウの眼鏡を光らせた。

「参加します」

 即答だった。

 開発の人間たちが、うっかり社の内情を暴露する可能性を考えると、放ってはおけなかった。

 協力会社とは言え、どんな契約も永遠に続く訳ではないのだ。

 副社長の責任ある立場としては、監視する必要があった。

「そう…嬉しいわ」

 笑顔で、ハルコは立ち去る。

 何故、彼が二次会に参加するので嬉しいと思うのか、シュウには理解不能だった。

 ふむ。


 どうやら社長への進言は、ずっと後になりそうだ。
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