冬うらら2
¥
あかんなぁ~。
とりあえず、トイレの中でいろいろ考えはしたものの、タロウの頭の中には、もう帰ることしか浮かばなかった。
ここを出て、適当に副社長に別れの挨拶をして、とっとと地元に帰るのが、一番に思えたのだ。
せっかくの楽しかった披露宴が、二次会でブチ壊しになるとは―― おそるべし、鋼南電気の副社長。
まあ、そんなにスーパースペシャルデラックスで、キュートな子もおらんかったしなぁ。
自分をそうやって慰めながら、タロウはトイレを出た。
怯みそうになるが、副社長への挨拶を、はしょるワケにはいかない。
重たい足取りで、一度元の席に戻ろうとした時。
「ちょっと、ウェイター!!!」
鋭い声が―― 飛んできた。
あ?
一瞬、誰に向かってかけられた声なのか、分からなかった。
ただ、パワーのある声だったので、ついそっちの方を見てしまった、という方が正しい。
まっすぐに、タロウを見ている強い瞳が、一番最初に彼の脳髄に焼き付いた。
黒というより、深い深い青に近い瞳に見えた。
意思の強さと、攻撃的なマリーンの青。
海の青というより、海軍の青だ。
しかも。
更に、ただのマリーンではなかった。
「ちょっと、このワイン開けてよ! ムカつくから飲んじゃいたいのよ!」
高い声。
赤い唇。
白い肌。
栗色の髪。
意思の強い瞳に似合う、意思の強い眉のライン。
「はやく、開けてよ!」
タロウは、身体の中で。
チュドーン!!!!
生まれて初めての大爆発の音を聞いた。
あかんなぁ~。
とりあえず、トイレの中でいろいろ考えはしたものの、タロウの頭の中には、もう帰ることしか浮かばなかった。
ここを出て、適当に副社長に別れの挨拶をして、とっとと地元に帰るのが、一番に思えたのだ。
せっかくの楽しかった披露宴が、二次会でブチ壊しになるとは―― おそるべし、鋼南電気の副社長。
まあ、そんなにスーパースペシャルデラックスで、キュートな子もおらんかったしなぁ。
自分をそうやって慰めながら、タロウはトイレを出た。
怯みそうになるが、副社長への挨拶を、はしょるワケにはいかない。
重たい足取りで、一度元の席に戻ろうとした時。
「ちょっと、ウェイター!!!」
鋭い声が―― 飛んできた。
あ?
一瞬、誰に向かってかけられた声なのか、分からなかった。
ただ、パワーのある声だったので、ついそっちの方を見てしまった、という方が正しい。
まっすぐに、タロウを見ている強い瞳が、一番最初に彼の脳髄に焼き付いた。
黒というより、深い深い青に近い瞳に見えた。
意思の強さと、攻撃的なマリーンの青。
海の青というより、海軍の青だ。
しかも。
更に、ただのマリーンではなかった。
「ちょっと、このワイン開けてよ! ムカつくから飲んじゃいたいのよ!」
高い声。
赤い唇。
白い肌。
栗色の髪。
意思の強い瞳に似合う、意思の強い眉のライン。
「はやく、開けてよ!」
タロウは、身体の中で。
チュドーン!!!!
生まれて初めての大爆発の音を聞いた。