冬うらら2

 大体。

 フライドチキンだけじゃなく、ハンバーガー、フライドポテト。

 とにかく、ジャンクな食べ物が、大好きな男なのだ。

 気がつくと、そういうものばかり食べている。

 甘いものも大好きで、女ばかりが集うパーラーに入っても、全然臆せずにケーキだのパフェだの注文するのだ。

 それから、それから!

 ハッ!

 気づけば、頭の中があの脳天気な男で、いっぱいになっていた。

 付き合ってみればみるほど、彼女が求める『彼氏』というものへの理想とはかけ離れている男だというのに、どうしてこんな風に頭の中がいっぱいになってしまうのか。

 これではまるで、自分がとてもあの男のことが、好きでしょうがないようではないか。

 そ、そんなこと!

 相手が、リエを好きだというから。

 彼女自身も、いまフリーだから。

 だから、だから私は!

「リエ……」

 心配そうに隣から声をかけられて、何でもないという顔で答えようとした時。

「リエ……それ、食べるのかしら?」

 ふふっとハルコに微笑まれて、自分の手元を見ると。

 こなごなに分解されて、小さな破片になったフライドチキンと目が合った。

 いろいろ考えている内に、無意識にやってしまったらしい。

「た、食べます…」

 恥ずかしさで、こまぎれにしたチキンと同じくらい、小さくなってしまうリエだった。
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