冬うらら2
□二次会をすっぽかした二人

 そうだ。

 悪いのは、何もかもオレだ。

 メイをすっ転ばせるほど、見境がなくなっていたのもカイトだし、披露宴を最後は台無しにしたのも、誰あろう彼なのだ。

 結婚式や披露宴は、彼女のために我慢していたハズだったのに。

 もしも。

 彼女が、披露宴のことを思い出した時、寂しい思いや恥ずかしい思いを覚えたら。

 そこまで、カイトの頭は回らなかった。

 とにかく自分の感情だけで、メイの希望をグチャグチャにしてしまったのである。

 つーっと、背中にイヤな汗が流れた。

 メイが、その事実を呆れたり悲しんだりしていたら、どうすればいいのか、と。

 今頃になって、罪悪感というものが一斉に、津波となって襲いかかってくる。

 彼女を幸せにしたいカイトとしては。

 カッコイイ男と思われたいカイトとしては。

 あの披露宴の惨劇が、メイの中で、マイナス何点がつけられたのか―― それが、一番気がかりだった。

 目の前の白いドレスから視線をそらしたまま、口の中で小さく唸る。

 こんなハズじゃなかった、という思いばかりが頭の中で巡るのだ。

 何もかも、ソウマのようにスマートに決めたいのに、どれもこれもドカンガシャン、だったのだ。

「カイト…?」

 不安そうな声に、呼びかけられる。

 何を言われても仕方がないと、カイトは胸の辺りをズンと重くしながら、観念して彼女の方に向き直るのだ。
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