冬うらら2

 カイトが、その言葉に変に反応しそうだったのだ。

 ソウマが声をかけると、大体そうなるので。

 そういう意味では、結婚式に関するいろんな決定事項を、カイトに確認を取らなかったのは正しかったかもしれない。

 いや、彼らは『勝手にしろ』と言われたので、本当に勝手にしていただけかも。

 ソウマやハルコは、すごくいい人で、彼女はとてもお世話になった。

 大好きな人たちだ。

 ただ、少しカイトには遠慮がない。

 でもまあ、それが友達というものなのだろう。

 友達…。

 メイは、ぽつっと思った。

 昔住んでいたところには、学生時代の友達が何人もいる。

 ここから駅で7つくらい行ったところだ。

 彼女らは、どうしているだろうか。

 何の連絡も取らないまま、消えてしまった自分を心配してはいないだろうか。

 もう少し落ち着いたら、新住所を知らせる意味ででも、ハガキを出そうと思った。

 結婚して、元気でやってます―― その一言だけでも伝えたら、きっとみんな安心してくれるに違いなかった。

「それじゃ、失礼するわね」

 ハルコの声で、はっと我に返る。

 カイトは怒鳴ってはいなかったけれども、ようやく振り返って、お客たちを睨んでいた。

「あ、下まで…」

 送ります、と言おうとしたのに。


「すんな!」


 ついに、怒鳴り声が出てしまった。

「と、言うワケだ…見送りはここまででいいよ」

 ソウマは、ぽんっとメイの肩を叩く。

 そして、二人で嬉しそうな気配の背中を見せながら、部屋を出ていってしまった。
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