冬うらら2

 一緒に、あんな風に。

 寄り添うように、歩ける時がくるのだろうか。

 こぼれ落ちるほどの、幸せの詰まった背中で。

 じっと、閉ざされたドアを見つめたまま、メイはぼんやりしてしまった。

 自分の背中の視線に気づいて、はっと振り返る。

 カイトが、椅子の背もたれに肘をかけるようにして、こっちを見ていた。

 怒っているような目。

 やっぱり、今日の出来事が気に入らないのだろう。

 一番の原因は、『結婚式』としか思えなかった。

「あ、あの…」

 今日のカイトの本当の気持ちを聞きたいのに、うまくそれを口に出すことが出来ない。

 言いかけて、黙り込んでしまった。

 ガタッッ。

 カイトが椅子を動かして立ち上がる。

 近づいてくる。

 腕を伸ばされて―― ぎゅーっと。

 温かい身体と、強く密着する。

「んなツラ…すんな」

 どんな顔をしているのだろうか、自分は。

 もしかしたら、いまの二人を見ていて物欲しそうな顔でもしていたのか。

 そうじゃないの。

 確かに、彼らの存在はすごくステキで羨ましいものだ。

 けれども、そうなれなかったとしても、カイトと一緒にいられればそれでいいのである。

 彼と一緒に幸せになれるのなら、どんな形だってよかったのだ。

 ぎゅっと抱きしめ返す。

 ほら。

 メイは思った。


 こんなに、幸せ。

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