冬うらら2

 言った。

 言っちまった。

 結局は、金メッキさえ貼り付けることができなかった。

 どう聞いても、綺麗さはどこにもなく、むき出しの金属のままの言葉だ。

 そして、『オレは、嫉妬深く器の小さい男です』、と白状したようなものだった。

 ソウマのように、スマートに振る舞えない自分に、本当にハラが立つ。

 これでは、メイの気持ちを、自分に惹きつけ続けることが出来ないのではないか。

 結果的に、独占欲むき出しで披露宴を台無しにしたことも、バラしてしまった。

 カイトの、ワガママな行動以外のナニモノでもない。

 この後、フォローが必要だ。

 どうにか言葉を探して、自分の器の回復を計らなければ、メイの中の好感度が、どんどんマイナスになっていきそうだった。

 カイトは、もう一度身体中から、言葉を探そうとした。

 なのに、どの店の扉にも「SOLD OUT」の無情な看板。

 クソ、クソッ!!

 彼女にとって、カッコイイ男でありたいのに、現実とのギャップはいつもカイトを追いつめる。

 こんな時にはいつも、自分が鉄クズのように感じられて、悔しくてしょうがないのだ。

 どうにかして。

 どうにかしてメイを。

 彼女をつなぎとめる、絶対的な何かが欲しかった。

 それを、最初は婚姻届だと思っていたような気がする。

 だが、魔法の用紙ではなかった。

 確かに一緒にいるための、大きな理由を作ってはくれた。

 それは、間違いない事実だ。
< 568 / 633 >

この作品をシェア

pagetop