冬うらら2
☆
「コウノの全盛期のゲームをやったことあります? この場合は、大学時代、ということになるんでしょうが」
そう言われても、ソウマは首を横に振るしかない。
コンピュータは、いろんなところでお世話にはなっていたが、コンピュータゲームは、ほとんど手をつけていないのだ。
特に、彼が大学生ごろのモノなど、見たことがあるものの方が少ないだろう。
いまでこそ、一応鋼南から発売されたゲームを、自宅に揃えてはいるものの、ハルコもソウマも、とてつもなく長くかかるRPGやシミュレーションとやらを、クリアするまで打ち込んだことは、ほとんどなかった。
ただ、2人で話のタネにするのだ。
『ああ、カイトはまたこんなのを作って』、とか。
『男の子の夢なのかしらねぇ…こういうのは』
メカが出てきたり、武器が出てきたり。
主人公は誰よりも強くなり、現実の人間からは信じられない芸当をやってのける。
そして―― 死と愛に直面する。
擬似的な、スリルと興奮。
美しいビジュアル。
しかし。
カイトのゲームには、いつもどこか本当に憎むべき存在がいた。
最近のゲームは、敵方であっても憎めないとか、本当は敵にもつらい過去があったとか、そういうプレイヤーの共感を呼ぶようなものが多いらしい。
だが、カイトの作るゲームは違う。
本当に憎悪の対象となる存在が、いつも森の影に隠れているのだ。
わずかな隙をついて、いつだって襲いかかってくる気がする。
鋼南電気で、1年半ほど前に発売されたゲームだけは、ソウマはクリアしていた。
発売された当時は、売り切れにつぐ売り切れだったのと、彼も伝説の事件とやらの出来事の頃で、プレイしたのはかなり後のことだったが。
確か、「BADIA」とかいう名前だったか。
「コウノの全盛期のゲームをやったことあります? この場合は、大学時代、ということになるんでしょうが」
そう言われても、ソウマは首を横に振るしかない。
コンピュータは、いろんなところでお世話にはなっていたが、コンピュータゲームは、ほとんど手をつけていないのだ。
特に、彼が大学生ごろのモノなど、見たことがあるものの方が少ないだろう。
いまでこそ、一応鋼南から発売されたゲームを、自宅に揃えてはいるものの、ハルコもソウマも、とてつもなく長くかかるRPGやシミュレーションとやらを、クリアするまで打ち込んだことは、ほとんどなかった。
ただ、2人で話のタネにするのだ。
『ああ、カイトはまたこんなのを作って』、とか。
『男の子の夢なのかしらねぇ…こういうのは』
メカが出てきたり、武器が出てきたり。
主人公は誰よりも強くなり、現実の人間からは信じられない芸当をやってのける。
そして―― 死と愛に直面する。
擬似的な、スリルと興奮。
美しいビジュアル。
しかし。
カイトのゲームには、いつもどこか本当に憎むべき存在がいた。
最近のゲームは、敵方であっても憎めないとか、本当は敵にもつらい過去があったとか、そういうプレイヤーの共感を呼ぶようなものが多いらしい。
だが、カイトの作るゲームは違う。
本当に憎悪の対象となる存在が、いつも森の影に隠れているのだ。
わずかな隙をついて、いつだって襲いかかってくる気がする。
鋼南電気で、1年半ほど前に発売されたゲームだけは、ソウマはクリアしていた。
発売された当時は、売り切れにつぐ売り切れだったのと、彼も伝説の事件とやらの出来事の頃で、プレイしたのはかなり後のことだったが。
確か、「BADIA」とかいう名前だったか。