冬うらら2
△
「しかし…」

　それでも、以後の予防のために。

　シュウが、更に食い下がろうとしたが。

「あらあら…式は二度もないから、予防もないわよ」

　彼女の柔らかいヘリクツに、シュウはため息をついた。

　このまま会話を続けていっても、結局彼が折れるまで、こんなセリフが続くに違いない。

　帰るなと言われているのに帰ろうとすると、もっと長い時間拘束されかねない。

　そんな、時間の無駄をするくらいなら。

　副社長は、ため息をついた。

「分かりました。今夜は、ホテルにでも宿泊します…これでよいでしょう」

　とりあえず。

　これまでの経験から、ハルコの忠告は聞いておいて損はなかった。

　統計に基づく回答でもあったのだ。

「満点よ、シュウ…ありがとう」

　しかし。

　ハルコは、用件が終わってもなかなか立ち去ろうとせず、彼の時間はもう少し奪われることとなった。
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表紙・目次

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