冬うらら2
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世界は、激しく揺れた。
山道を走る、トラックの荷台に乗せられたかのように、メイの視界は激しく揺れる。
トラックとの違いは、あの金属の乗り物ではお尻を痛めたに違いないが、二本の腕の上では痛みは全然ない、ということだ。
しかし、余りに慣れない角度と、自分のドレスがわさわさと激しく動く光景は、激しい揺れとは対照的に、全然現実感がなかった。
気づけば、彼らの部屋の中だ。
その事実に気づいた直後―― メイの身体は、投げ出されるみたいにベッドにダイビングしたのだった。
「きゃあっ!」
激しい上下差や速度に、ついに驚きの声をあげてしまった。
大きな声になってしまったが、痛い思いなんかない。
柔らかいベッドと、ドレスのふわふわのせいで、変な風に転がってしまっただけだ。
慌てて、態勢を立て直そうとするのだが、ひっくり返ったカメのようにうまくいかない。
心臓が慌てているせいもあるし、ドレスのパニエのせいもあるし、ベッドの柔らかさのせいでもある。
しかし、態勢を立て直すより先に、カイトの視線が刺さった。
あっ。
半身を起こしかけた状態で、一瞬その強さに、メイは動きを止めてしまった。
どうして、こんなことになったのか。
ただ彼女は、何とか彼の言葉に、応えたいと思っただけなのだ。
一生懸命声を出そうとしたのに、こみ上げてくるもののせいでうまく言えなくて。
世界は、激しく揺れた。
山道を走る、トラックの荷台に乗せられたかのように、メイの視界は激しく揺れる。
トラックとの違いは、あの金属の乗り物ではお尻を痛めたに違いないが、二本の腕の上では痛みは全然ない、ということだ。
しかし、余りに慣れない角度と、自分のドレスがわさわさと激しく動く光景は、激しい揺れとは対照的に、全然現実感がなかった。
気づけば、彼らの部屋の中だ。
その事実に気づいた直後―― メイの身体は、投げ出されるみたいにベッドにダイビングしたのだった。
「きゃあっ!」
激しい上下差や速度に、ついに驚きの声をあげてしまった。
大きな声になってしまったが、痛い思いなんかない。
柔らかいベッドと、ドレスのふわふわのせいで、変な風に転がってしまっただけだ。
慌てて、態勢を立て直そうとするのだが、ひっくり返ったカメのようにうまくいかない。
心臓が慌てているせいもあるし、ドレスのパニエのせいもあるし、ベッドの柔らかさのせいでもある。
しかし、態勢を立て直すより先に、カイトの視線が刺さった。
あっ。
半身を起こしかけた状態で、一瞬その強さに、メイは動きを止めてしまった。
どうして、こんなことになったのか。
ただ彼女は、何とか彼の言葉に、応えたいと思っただけなのだ。
一生懸命声を出そうとしたのに、こみ上げてくるもののせいでうまく言えなくて。