冬うらら2
□
前の部屋の荷物を、全部引き上げに行くということで。
やっと確実に理解はしたものの、さっきの一瞬のショックが大きすぎて、カイトは何度か意識して呼吸を繰り返さなければならなかった。
確かに、メイの言う通りだった。
いつまでも、あのアパートを放っておくワケにはいかなかった。
まだ、中には彼女の荷物が置き去りのままなのだから。
部屋の中を思い出す。
たった一晩だけ、カイトが泊まった部屋。
何もない、がらんとした部屋だ。
あれを見た瞬間の気持ちが、一気に波のように戻ってくる。
カイトは、ぱっとフタをした。
もう、あんな気持ちになる必要はないのだ。
彼女はそこにいて、法的にも自分の妻なのだから。
あの部屋にあるものを全部捨ててしまいたい衝動と、初めて彼女と身体を交わすことができた時の気持ちと、2頭の龍が渦を巻くように絡まり合ってカイトを締め付けた。
しかし、彼女が望むなら。
荷物を引き上げたいというのなら、それでいいと思った。
「明日…行くぞ」
早く。
結婚前に起きた別れを思い出させるものは、片づけてしまいたかった。
「ありがとう」
嬉しそうなお礼の表情には、昔を思わせるようなイヤな影はなかった。
その笑顔に救われながら、カイトはようやくじゃがいもの煮物を、箸で突き刺すことが出来た。
前の部屋の荷物を、全部引き上げに行くということで。
やっと確実に理解はしたものの、さっきの一瞬のショックが大きすぎて、カイトは何度か意識して呼吸を繰り返さなければならなかった。
確かに、メイの言う通りだった。
いつまでも、あのアパートを放っておくワケにはいかなかった。
まだ、中には彼女の荷物が置き去りのままなのだから。
部屋の中を思い出す。
たった一晩だけ、カイトが泊まった部屋。
何もない、がらんとした部屋だ。
あれを見た瞬間の気持ちが、一気に波のように戻ってくる。
カイトは、ぱっとフタをした。
もう、あんな気持ちになる必要はないのだ。
彼女はそこにいて、法的にも自分の妻なのだから。
あの部屋にあるものを全部捨ててしまいたい衝動と、初めて彼女と身体を交わすことができた時の気持ちと、2頭の龍が渦を巻くように絡まり合ってカイトを締め付けた。
しかし、彼女が望むなら。
荷物を引き上げたいというのなら、それでいいと思った。
「明日…行くぞ」
早く。
結婚前に起きた別れを思い出させるものは、片づけてしまいたかった。
「ありがとう」
嬉しそうなお礼の表情には、昔を思わせるようなイヤな影はなかった。
その笑顔に救われながら、カイトはようやくじゃがいもの煮物を、箸で突き刺すことが出来た。