冬うらら2
01/17 Mon.
□13
Black・Mondayとは、よく言ったものだ。
少々使い方は間違っているが、カイトの気持ちもそういうものだった。
「いってらっしゃい」という、残酷な別れを体験して出社したカイトは、週末を邪魔してくれたソウマに、改めて心の中で睨みをきかせると、開発室に乗り込んだ。
あの訪問客さえいなければ、きっともう少しは、いまの気分もマシだったかもしれないのに。
こういう時は、プログラムに向かうのが一番のクスリだった。
既に、週末から家に帰っていないような連中が、何人か見える。
納期が近づいてくるのだ。
これから1ヶ月が正念場だった。
自分のコンピュータの前に、どかっと座りながら、彼は意識を戦闘モードに入れ―― かけた。
「シャチョー! イチハラさんから電話だそうですー! 1番の電話です!」
どがしゃっ。
その声で、バトルモードに入りかけたのが、すべて台無しになる。
こんな朝イチに、しかも会社に、誰が電話だと?
ばんっ、と1番の電話とやらを掴む。
コードレスなので、右手に持ち替えながら、自分のコンピュータの前に戻った。
イチハラ?
その名前は知っていた。
しかし、男のイチハラか、女のイチハラかで、彼の反応は結構変わる。
『今日もいい朝だな、調子はどうだ?』
男のイチハラ―― ソウマの方だった。
ソウマ・イチハラ。
それが彼の名前だった。
「何で、こっちにかけてくんだ…ケータイがあるだろうが」
心底不機嫌な声で対応してやる。
ここには、メイはいないので、彼にタテに取られることはないだろう。
『昨日の夜からかけてるんだが、全然通じないぞ…電源を切ってないか?』
そう言われて、はっとした。
Black・Mondayとは、よく言ったものだ。
少々使い方は間違っているが、カイトの気持ちもそういうものだった。
「いってらっしゃい」という、残酷な別れを体験して出社したカイトは、週末を邪魔してくれたソウマに、改めて心の中で睨みをきかせると、開発室に乗り込んだ。
あの訪問客さえいなければ、きっともう少しは、いまの気分もマシだったかもしれないのに。
こういう時は、プログラムに向かうのが一番のクスリだった。
既に、週末から家に帰っていないような連中が、何人か見える。
納期が近づいてくるのだ。
これから1ヶ月が正念場だった。
自分のコンピュータの前に、どかっと座りながら、彼は意識を戦闘モードに入れ―― かけた。
「シャチョー! イチハラさんから電話だそうですー! 1番の電話です!」
どがしゃっ。
その声で、バトルモードに入りかけたのが、すべて台無しになる。
こんな朝イチに、しかも会社に、誰が電話だと?
ばんっ、と1番の電話とやらを掴む。
コードレスなので、右手に持ち替えながら、自分のコンピュータの前に戻った。
イチハラ?
その名前は知っていた。
しかし、男のイチハラか、女のイチハラかで、彼の反応は結構変わる。
『今日もいい朝だな、調子はどうだ?』
男のイチハラ―― ソウマの方だった。
ソウマ・イチハラ。
それが彼の名前だった。
「何で、こっちにかけてくんだ…ケータイがあるだろうが」
心底不機嫌な声で対応してやる。
ここには、メイはいないので、彼にタテに取られることはないだろう。
『昨日の夜からかけてるんだが、全然通じないぞ…電源を切ってないか?』
そう言われて、はっとした。