冬うらら2

 シャツの背中が、カウンターに向かって、何か交渉している。

 チャラチャラ、キライ。

 とりとめのない思考は、彼の姿を見てそんな言葉を選んだ。

 金時計に、ピアス。

 車はきっとベンツで、遊んでいる女は星の数ほど―― 彼女が脚色した部分もあったが、ワンコのイメージはそんなところだった。

 そんな男が、何でハナにこんなに構うのか。

 もしや。

 パチッッ!

 ハナは、覚醒した。

 未だ、しっかりと酔いまくっているものの、このままではヤバイという気持ちに、突然取り憑かれたのだ。

 もしや、と。

 あのワンコのシャチョーは、下心バリバリなのではないかと思ったのだ。

 酔いツブして介抱して、その後。

 ハナの頭の中には、キラキラネオンの中に、消えていく2人の後ろ姿とやらが浮かんでしまったのだ。
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