冬うらら2
◎ウーロン茶

 あら。

 ハルコは、少し残念だった。

 向こうで大きな声がすると思ったら、あのハナ嬢が復活していたのだ。

 彼女の側で、ワンコの社長が振り回されているのが見える。

 いい雰囲気だったのに。

 すっかりハナが復活してしまった今では、あの2人の雰囲気はもうどこにもない。

 影さえもない。

 挙げ句、また彼女はお酒に手を出していて。

 あらあら。

 遠からず、再度つぶれるのではないかと、ハルコを心配させた。

 でも、そうすればまた、よい雰囲気になるのかしら?

 いろいろ考えていると、ソウマが彼女のためにウーロン茶のグラスを持って帰ってきてくれた。

 そろそろお開きだ。

 空になった皿は下げられていくばかりだし、満腹と飲酒で、みないいカンジだった。

 お酒の飲めない彼女のために、夫が気を利かせてくれてもらってきてくれたウーロン茶に口をつけながら、マメ台風ハナの騒ぎを眺める。

「結局、最後までシュウはいたな」

 ソウマの興味は、ハナの方ではなかった。

 向こから、まだタロウを見張っているメガネが見えた。

「シュウの春は遠いのかしらねぇ…」

 苦笑して夫を見ると、『俺に聞くな』というような瞳が返ってきた。

 さすがのソウマも、それについては自信がなかったに違いない。
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