冬うらら2
¥
「どうしはったんや? うちのシャチョーは」
「あかん…頭の上に、何か飛んでるで」
ざわざわ。
タロウには、仕事があった。
だから始発で帰ってきた足で、そのまま会社に入ったのだ。
しかし、ちっとも仕事が手につかなかった。
彼のロッカーに入っているもの。
いや、その持ち主のことが、気になって気になってしょうがないのだ。
そして、もう何十回とたてつづけに、ため息をつき続けていた。
あか~ん、頭にこびりついて離れへんで。
ロッカーの中には、女物のジャケットが入っている。
勿論、タロウのものではない。
昨日出会った、天使の上着だ。
何故こんな状態になったかというと。
昨夜、タロウは彼女に上着を貸したのだ。
介抱した時に着せかけたまま、それからずっと貸しっぱなしだったのである。
店を出る時、クロークから上着を受け取った彼女は、酔っぱらったまま着替えようとしたのだが、彼が慌てて止めた。
それには、ちゃんと理由があった。
酒で苦しそうにしていた時にタロウは、彼女の―― ブラのホックを外していたのである。
本人は気づいていないようだが、他の男に何か気づかれたくなかった彼は、そのまま上着を貸したままにしていたのだ。
タロウにはコートがあったので、最悪の寒さはなかった。
それに、自分の上着を貸しているという事実に、非常にご満悦でもあったのだ。
酔っぱらった勢いで、自分のジャケットをアスファルトに引きずるようにしていたので、持ってやっていた。
カラオケ屋で三次会の後、気づけば、彼女と2人きりになる。
いや、そうなって欲しかった彼が、そうなるようにし向けたのだ。
家まで送るのは、ナイトの仕事や!
酔って、今度はすっかり陽気になったハナが、ケラケラ笑いながら道案内した家というものは。
「どうしはったんや? うちのシャチョーは」
「あかん…頭の上に、何か飛んでるで」
ざわざわ。
タロウには、仕事があった。
だから始発で帰ってきた足で、そのまま会社に入ったのだ。
しかし、ちっとも仕事が手につかなかった。
彼のロッカーに入っているもの。
いや、その持ち主のことが、気になって気になってしょうがないのだ。
そして、もう何十回とたてつづけに、ため息をつき続けていた。
あか~ん、頭にこびりついて離れへんで。
ロッカーの中には、女物のジャケットが入っている。
勿論、タロウのものではない。
昨日出会った、天使の上着だ。
何故こんな状態になったかというと。
昨夜、タロウは彼女に上着を貸したのだ。
介抱した時に着せかけたまま、それからずっと貸しっぱなしだったのである。
店を出る時、クロークから上着を受け取った彼女は、酔っぱらったまま着替えようとしたのだが、彼が慌てて止めた。
それには、ちゃんと理由があった。
酒で苦しそうにしていた時にタロウは、彼女の―― ブラのホックを外していたのである。
本人は気づいていないようだが、他の男に何か気づかれたくなかった彼は、そのまま上着を貸したままにしていたのだ。
タロウにはコートがあったので、最悪の寒さはなかった。
それに、自分の上着を貸しているという事実に、非常にご満悦でもあったのだ。
酔っぱらった勢いで、自分のジャケットをアスファルトに引きずるようにしていたので、持ってやっていた。
カラオケ屋で三次会の後、気づけば、彼女と2人きりになる。
いや、そうなって欲しかった彼が、そうなるようにし向けたのだ。
家まで送るのは、ナイトの仕事や!
酔って、今度はすっかり陽気になったハナが、ケラケラ笑いながら道案内した家というものは。