冬うらら2
¥
「へ?」
タロウのメガネがズリ落ちる。
そこは。
派出所だったのだ。
唖然としている彼を横目に、陽気なハナはバンとドアを開けると。
「キズオー!! キズオー!!!」
と絶叫し始めたのである。
出てきたのは―― むっちゃ体格のいい、なおかつ警官の制服をきた、更にもう一個、顔に傷のある男だったのである。
やれやれと、呆れ困ったような顔をした後、男は彼女をパトカーで送って行ってしまったのだ。
そしてうっかり、タロウの手には彼女の上着が残ってしまった。
※
何や。
タロウは、面白くない感情を胸によぎらせた。
彼女の周囲には、やたら男の影があるのだ。
鋼南電気の社長に副社長、あの強面の警官。
とんでもないメンバー揃いと来ている。
負けへんで。
しかし。
いまのワンコの社長の辞書に、『あきらめる』という単語だけはなかった。
幸い、このジャケットという口実もあるのだ。
ポケットの中に突っ込んであった口紅と、その色の唇をしていた女のことを思い出して、リベンジに燃えるタロウだった。
「へ?」
タロウのメガネがズリ落ちる。
そこは。
派出所だったのだ。
唖然としている彼を横目に、陽気なハナはバンとドアを開けると。
「キズオー!! キズオー!!!」
と絶叫し始めたのである。
出てきたのは―― むっちゃ体格のいい、なおかつ警官の制服をきた、更にもう一個、顔に傷のある男だったのである。
やれやれと、呆れ困ったような顔をした後、男は彼女をパトカーで送って行ってしまったのだ。
そしてうっかり、タロウの手には彼女の上着が残ってしまった。
※
何や。
タロウは、面白くない感情を胸によぎらせた。
彼女の周囲には、やたら男の影があるのだ。
鋼南電気の社長に副社長、あの強面の警官。
とんでもないメンバー揃いと来ている。
負けへんで。
しかし。
いまのワンコの社長の辞書に、『あきらめる』という単語だけはなかった。
幸い、このジャケットという口実もあるのだ。
ポケットの中に突っ込んであった口紅と、その色の唇をしていた女のことを思い出して、リベンジに燃えるタロウだった。