冬うらら2
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ああ。
背中に、抱きつきたかった。
こんなに好きだということを、言葉で彼に伝えたかった。
代わりに。
つないでいる手を。
ぎゅっと握り返した。
カイトは、一瞬それに震えた。
走っている振動とは違う感触が、手を通じて伝わってきたのだ。
でも。
振り返らないまま、ぎゅっと。
ぎゅっと、握り返してくれた。
飛行機の向こうには―― 夏が待っている。
冬しか知らない2人で迎える、本当に初めての夏だった。
『終』
ああ。
背中に、抱きつきたかった。
こんなに好きだということを、言葉で彼に伝えたかった。
代わりに。
つないでいる手を。
ぎゅっと握り返した。
カイトは、一瞬それに震えた。
走っている振動とは違う感触が、手を通じて伝わってきたのだ。
でも。
振り返らないまま、ぎゅっと。
ぎゅっと、握り返してくれた。
飛行機の向こうには―― 夏が待っている。
冬しか知らない2人で迎える、本当に初めての夏だった。
『終』