冬うらら2
□
お互い思って結婚した。
婚姻届も出した、でいいではないか。
それなのに、結婚した途端、次から次へとカイトに難題が押し寄せてくる。
結婚式だの、親への紹介だの。
この分では、毎日一つずつ何か大きな仕事を片づけている間に、新しい課題がもっとすごいスピードで山積みされそうな予感があった。
きっと、これだけでは終わらないだろう。
『とにかく…ちゃんと紹介するんだぞ……本当は、昨日の夜帰りぎわに言おうと思ったんだがな』
そこから、ソウマは少し言葉を濁した。
言いにくそうに。
「……?」
何に引っかかっているのか分からずに、カイトは横目で受話器を見た。
困ったような苦笑をしているように思えたのだ。
『いや…その…彼女には、親御さんがいないワケだろう? どうにも、その前では…言いだしにくくてなぁ』
ああ。
言われて、初めてその事実も思い出した。
必要なのはメイだけで、そのバックグランドに興味を示しているヒマはなかったので、すかーっと忘れ去っていたのである。
普通なら。
頭をさげて、メイの親からお嫁にもらわなければならなかったのだ。
いまみたいに、勝手に婚姻届など、絶対に出せなかっただろう。
それもあったが。
本当に、ソウマという男が、妙に細かいところにまで気の回る存在だということも、改めて感じさせられた。
ただ、カイトをからかうためだけに現れて、何もかも傍若無人にやりたい放題かと思っていたら。
メイのためを思って、言葉を控えさえしていたのだ。
フン。
ソウマをホメるとなると、途端に身体が落ち着かなくなる。
だから、決してホメない。
ただ、彼の言葉に素直に答えてやることにした。
「分かった…今度の週末にでも行ってくる」
受話器は、その瞬間何もしゃべらなかったが、相手がにこっと笑った感触が伝わってきて―― 彼を、ますます落ち着かなくさせたのだった。
お互い思って結婚した。
婚姻届も出した、でいいではないか。
それなのに、結婚した途端、次から次へとカイトに難題が押し寄せてくる。
結婚式だの、親への紹介だの。
この分では、毎日一つずつ何か大きな仕事を片づけている間に、新しい課題がもっとすごいスピードで山積みされそうな予感があった。
きっと、これだけでは終わらないだろう。
『とにかく…ちゃんと紹介するんだぞ……本当は、昨日の夜帰りぎわに言おうと思ったんだがな』
そこから、ソウマは少し言葉を濁した。
言いにくそうに。
「……?」
何に引っかかっているのか分からずに、カイトは横目で受話器を見た。
困ったような苦笑をしているように思えたのだ。
『いや…その…彼女には、親御さんがいないワケだろう? どうにも、その前では…言いだしにくくてなぁ』
ああ。
言われて、初めてその事実も思い出した。
必要なのはメイだけで、そのバックグランドに興味を示しているヒマはなかったので、すかーっと忘れ去っていたのである。
普通なら。
頭をさげて、メイの親からお嫁にもらわなければならなかったのだ。
いまみたいに、勝手に婚姻届など、絶対に出せなかっただろう。
それもあったが。
本当に、ソウマという男が、妙に細かいところにまで気の回る存在だということも、改めて感じさせられた。
ただ、カイトをからかうためだけに現れて、何もかも傍若無人にやりたい放題かと思っていたら。
メイのためを思って、言葉を控えさえしていたのだ。
フン。
ソウマをホメるとなると、途端に身体が落ち着かなくなる。
だから、決してホメない。
ただ、彼の言葉に素直に答えてやることにした。
「分かった…今度の週末にでも行ってくる」
受話器は、その瞬間何もしゃべらなかったが、相手がにこっと笑った感触が伝わってきて―― 彼を、ますます落ち着かなくさせたのだった。