冬うらら2

「勿論よ。仕事柄、カイト側の招待客が多くなるだろうから、来て欲しい人を思いついたら、どんどん言ってちょうだい」

 言われて、はたと気づく。

 そうなのだ。

 カイトは、今をときめくゲーム産業を代表する、鋼南電気の社長なのである。

 そりゃあもう、会社関係だけでもとんでもないメンバーが揃いそうだ。

 ど、どうしよう。

 式は、身内だけの少ない人数だからまだしも―― 披露宴。

 ちらりと横目で見ると、やっぱり披露宴会場らしきパンフレットなども置いてあるし、さっきもそういう内容について聞かれたような気がした。

 第一、昨日すでにどこかを仮押さえしているとまで言っていた。日付も決定しているらしい。

 おそるおそる、何日なのか聞いてみた。

 すると、ハルコがよくぞ聞いてくれたとばかりにきらっと目を輝かせたのだ。

「日取りでしょう? それがね、やっぱり急ぎとなると平日くらいしか開いてなくて。でもね、すごく素敵な日なのよ!」

 かなり、声が楽しそうで。

 メイは、漠然とした不安を隠しきれずに彼女を見ていた。

「2月14日よ、2月14日…月曜日。バレンタインデーね」

 バレンが、タインで、デーらしい。
< 68 / 633 >

この作品をシェア

pagetop