冬うらら2
01/18 Tue.
●17
「今日は…遅くなる」
朝、玄関で抱きしめられている時に、言いにくそうな声が聞こえてきた。
ついに来た。
ずっと見たくなくて、戸棚の奥の方に押し込んでいた言葉が転がり出てきた。
彼の職業柄、こんなに毎日早く帰ってこられるハズがないのだ。
そう分かっていただけに、当然の出来事だと思ったし―― だからと言って、ショックが薄れてくれるワケじゃない。
「気をつけて…いってらっしゃい」
気落ちしてしまったのが伝わらないように、ぱっとその失敗料理を背中の方へ隠して笑った。
もしも見られてしまったら、彼にもこの気持ちが伝染するだろう。
失敗料理を食べるのは、自分だけで十分だった。
ただでさえカイトは、その事実を伝えたせいか、かなりテンションを落としているというのに。
何時くらいになるのかとか、聞かなかった。
はっきり分かっているなら、きっと彼は言ってくれるだろう。
言わないということは、分からないのだ。
そうして、カイトは仕事へ行ってしまった。
「今日は…遅くなる」
朝、玄関で抱きしめられている時に、言いにくそうな声が聞こえてきた。
ついに来た。
ずっと見たくなくて、戸棚の奥の方に押し込んでいた言葉が転がり出てきた。
彼の職業柄、こんなに毎日早く帰ってこられるハズがないのだ。
そう分かっていただけに、当然の出来事だと思ったし―― だからと言って、ショックが薄れてくれるワケじゃない。
「気をつけて…いってらっしゃい」
気落ちしてしまったのが伝わらないように、ぱっとその失敗料理を背中の方へ隠して笑った。
もしも見られてしまったら、彼にもこの気持ちが伝染するだろう。
失敗料理を食べるのは、自分だけで十分だった。
ただでさえカイトは、その事実を伝えたせいか、かなりテンションを落としているというのに。
何時くらいになるのかとか、聞かなかった。
はっきり分かっているなら、きっと彼は言ってくれるだろう。
言わないということは、分からないのだ。
そうして、カイトは仕事へ行ってしまった。