冬うらら2
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食料品。
はがきを5枚。
白い毛糸をひと抱え。
編み棒を1組。
『彼のセーター』を1冊。
帰ってきたメイは、今日の戦利品を眺めて困惑してしまった。
本当に、買ってきてしまったのである。
買い物に行く途中、ハルコと車の中でいろいろと話をしたのだ。
「そう…カイト君、今日は遅くなるのね」
だったら、うちで夕食でもどう?―― そう誘われたけれども、メイは断った。
いつカイトが帰ってくるか分からないし、どうせだったら、彼と一緒にご飯を食べたかったのだ。
「そう?」
ハルコは、自分の提案が砕かれたことに残念そうだった。
「でもねぇ、これからしばらく定時には帰れないんじゃないかしら? 結婚式の寸前まで、納期に追い回されそうよ」
彼女が言うには、もっと早く結婚式も予定に入れたかったらしい。
しかし、シュウが絶対この日より早くはダメです、とデッドラインを引いたのだ。
そこから一番早い式、ということで、バレンタインデーに白羽の矢が立ったのである。
「ソウマは平日だからって、最初はちょっと反対したのよ。でも、どうせだったらロマンティックな日が、あなたもいいでしょう?」
一生に一度なんですもの、ね?
何日でも別に、と言いかけたけれども、ハルコの言葉には勝てなかった。
せっかく、彼女のためを思ってしてくれているのである。
まだ、不安の手には触られてはいるけれども、カイトが承諾してくれた今、ムキになって全てを台無しにする材料は、ないように思えた。
もう1日たった今でも、やっぱり自覚というものは、いまだ芽吹いてもいないのだが。
しかし、結婚式という先の話よりも、彼女が言った『納期』という言葉が、二人を引き離すことが分かって―― そっちの方が、憂鬱になってしまう。
この分では、毎日家の中をピカピカに磨き上げそうだ。
いや、それでもいいのだが。
食料品。
はがきを5枚。
白い毛糸をひと抱え。
編み棒を1組。
『彼のセーター』を1冊。
帰ってきたメイは、今日の戦利品を眺めて困惑してしまった。
本当に、買ってきてしまったのである。
買い物に行く途中、ハルコと車の中でいろいろと話をしたのだ。
「そう…カイト君、今日は遅くなるのね」
だったら、うちで夕食でもどう?―― そう誘われたけれども、メイは断った。
いつカイトが帰ってくるか分からないし、どうせだったら、彼と一緒にご飯を食べたかったのだ。
「そう?」
ハルコは、自分の提案が砕かれたことに残念そうだった。
「でもねぇ、これからしばらく定時には帰れないんじゃないかしら? 結婚式の寸前まで、納期に追い回されそうよ」
彼女が言うには、もっと早く結婚式も予定に入れたかったらしい。
しかし、シュウが絶対この日より早くはダメです、とデッドラインを引いたのだ。
そこから一番早い式、ということで、バレンタインデーに白羽の矢が立ったのである。
「ソウマは平日だからって、最初はちょっと反対したのよ。でも、どうせだったらロマンティックな日が、あなたもいいでしょう?」
一生に一度なんですもの、ね?
何日でも別に、と言いかけたけれども、ハルコの言葉には勝てなかった。
せっかく、彼女のためを思ってしてくれているのである。
まだ、不安の手には触られてはいるけれども、カイトが承諾してくれた今、ムキになって全てを台無しにする材料は、ないように思えた。
もう1日たった今でも、やっぱり自覚というものは、いまだ芽吹いてもいないのだが。
しかし、結婚式という先の話よりも、彼女が言った『納期』という言葉が、二人を引き離すことが分かって―― そっちの方が、憂鬱になってしまう。
この分では、毎日家の中をピカピカに磨き上げそうだ。
いや、それでもいいのだが。