冬うらら2
●
「時間が余ってるんだったら、何か趣味のことでもしたら?」
そう言われたのは、スーパーマーケットの魚売場の前。
いつもの通り、メイがじっくりと魚の瞳を見つめて、吟味している時だった。
死んだ魚の姿は怖くない。
何しろ、魚屋さんと親しくしていたのだ。
確かに子供の頃は怖かったのだが、そこのおねーさんが魚についてたくさんの話をしてくれたので、その内にお頭つきの魚も怖くなくなっていた。
3枚におろす方法も、お刺身の切り方も教えてもらった。
趣味。
ハルコにいきなりそう言われても、ぱっとは思いつかない。
何でもちょっとずつ好きで、でも、何でもうまく出来るというワケじゃなかった。
「そうねぇ…たとえば、あの家は庭が広いからガーデニングとか…ああ、まだ寒いわね」
魚の吟味以外で悩んでいることに気づいたのか、ハルコが助言をくれた。
いい案だったが、確かに彼女の言うように、まだ寒い。
チューリップの球根って、いつくらいに植えたらいいんだろう、とぼんやり彼女は考えた。
それくらいだったらできそうな気がしたのだ。
夏になったら、朝顔とかヒマワリとか、と考えかけて、自分のガーデニング・レベルが、小学生の夏休みの観察日記レベルであることを知って、恥ずかしくなった。
でも、観葉植物くらいあってもいいかなぁ。
彼女の心は、植物モノに引きずられていた。
「時間が余ってるんだったら、何か趣味のことでもしたら?」
そう言われたのは、スーパーマーケットの魚売場の前。
いつもの通り、メイがじっくりと魚の瞳を見つめて、吟味している時だった。
死んだ魚の姿は怖くない。
何しろ、魚屋さんと親しくしていたのだ。
確かに子供の頃は怖かったのだが、そこのおねーさんが魚についてたくさんの話をしてくれたので、その内にお頭つきの魚も怖くなくなっていた。
3枚におろす方法も、お刺身の切り方も教えてもらった。
趣味。
ハルコにいきなりそう言われても、ぱっとは思いつかない。
何でもちょっとずつ好きで、でも、何でもうまく出来るというワケじゃなかった。
「そうねぇ…たとえば、あの家は庭が広いからガーデニングとか…ああ、まだ寒いわね」
魚の吟味以外で悩んでいることに気づいたのか、ハルコが助言をくれた。
いい案だったが、確かに彼女の言うように、まだ寒い。
チューリップの球根って、いつくらいに植えたらいいんだろう、とぼんやり彼女は考えた。
それくらいだったらできそうな気がしたのだ。
夏になったら、朝顔とかヒマワリとか、と考えかけて、自分のガーデニング・レベルが、小学生の夏休みの観察日記レベルであることを知って、恥ずかしくなった。
でも、観葉植物くらいあってもいいかなぁ。
彼女の心は、植物モノに引きずられていた。