冬うらら2

 そんなにたくさんの回数、彼女と電話でしゃべったことなどないのだ。

 彼女が電話に出て、自分からだと分かったら、どんな風に変わるだろうか。

 嬉しい?

 それとも、寂しがっているか?

 いつも通りかもしれない。

 希望と憶測で心臓をまたたかせながら、彼は受話器が上がるのを待った。

 そうしている内に、呼び出しコールが途切れた。向こう側の世界とつながったのだ。

 ゴクリ。

 生唾を飲み込みながら、カイトは第一声を吐こうとした。

『はい、もしもし…』

 声が聞こえた。


 ガッシャーン!!!!!


 カイトは、心の中で激しくクラッシュした。

 電話を取ったのは―― シュウだったのだ。

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