冬うらら2
□
『もしもし?』
ショックの余り、カイトがしばらく無言だったために、シュウが怪訝な声で問いかける。
そうなのだ。
あの男は別に開発ではないので、自分の仕事さえ終わればいつでも帰ることが出来るのだ。
そうして、たまたまメイより電話に近いところにいたのだろう。
いつものクセで、電話を取ってしまったのだ。
「オレだ…」
不機嫌をあからさまに表に出して、カイトは言った。
『ああ、カイトですか? 携帯でないとは珍しいですね…会社の方が、どうかしましたか?』
名乗らなかったけれども、きっと声で分かったのだろう。
しかし、シュウは怪訝の声を解かずに、続けての質問に入ったのだった。
珍しい事態のせいだ。
おめーに用はねーんだよ! とっととあいつと代われ!
この男に向かって、そうはっきり怒鳴ってやれたら、どんなに気持ちがいいか。
しかし、言えなかった。
言うと、自分がいかに彼女が好きで、気になって、挙げ句電話をしているのだということが、シュウにバレてしまうからである。
いや、全て本当のことなのだが―― それを、メイ以外の人間に知られたくなったのだ。
「おめーにじゃねぇ…」
しかし、電話というものは、言葉でないと相手に何も伝えることが出来ない。
視線とか態度とか、そういうもので匂わすのは不可能なのだ。
だから、絞り出すようにうなり声で言った。
『は?』
こういう時ばかりは、察しの悪い男だ。
やはり、怒鳴らなければならないのかと思いかけた時。
『ああ…分かりました。代わります』
一瞬、何かに気を取られたような反応を見せた。
シュウにしては珍しかった。
とにかく、メイのことだと察したようで、あとは彼女を呼んで来てもらうのを待つだけだった。
のだが。
『もしもし…カイト?』
ものの2秒とかからなかった。
『もしもし?』
ショックの余り、カイトがしばらく無言だったために、シュウが怪訝な声で問いかける。
そうなのだ。
あの男は別に開発ではないので、自分の仕事さえ終わればいつでも帰ることが出来るのだ。
そうして、たまたまメイより電話に近いところにいたのだろう。
いつものクセで、電話を取ってしまったのだ。
「オレだ…」
不機嫌をあからさまに表に出して、カイトは言った。
『ああ、カイトですか? 携帯でないとは珍しいですね…会社の方が、どうかしましたか?』
名乗らなかったけれども、きっと声で分かったのだろう。
しかし、シュウは怪訝の声を解かずに、続けての質問に入ったのだった。
珍しい事態のせいだ。
おめーに用はねーんだよ! とっととあいつと代われ!
この男に向かって、そうはっきり怒鳴ってやれたら、どんなに気持ちがいいか。
しかし、言えなかった。
言うと、自分がいかに彼女が好きで、気になって、挙げ句電話をしているのだということが、シュウにバレてしまうからである。
いや、全て本当のことなのだが―― それを、メイ以外の人間に知られたくなったのだ。
「おめーにじゃねぇ…」
しかし、電話というものは、言葉でないと相手に何も伝えることが出来ない。
視線とか態度とか、そういうもので匂わすのは不可能なのだ。
だから、絞り出すようにうなり声で言った。
『は?』
こういう時ばかりは、察しの悪い男だ。
やはり、怒鳴らなければならないのかと思いかけた時。
『ああ…分かりました。代わります』
一瞬、何かに気を取られたような反応を見せた。
シュウにしては珍しかった。
とにかく、メイのことだと察したようで、あとは彼女を呼んで来てもらうのを待つだけだった。
のだが。
『もしもし…カイト?』
ものの2秒とかからなかった。