冬うらら2
●19
 車の音が聞こえた時。

 メイは、ハッと顔を上げた。

 慌てて時計を見ると午前1時半―― 車の音の聞こえ方からして、ほぼ間違いなくカイトが帰ってきたのだろう。

 瞬間的に、身体が『嬉しい!』だの『会いたい!』だのという、アラームを一斉に鳴らし出す。

 部屋にいた彼女は、慌ててソファから立ち上がった。

 要するに、カイトの電話での言いつけも聞かずに、ベッドにいなかったのである。

 普通なら、退屈でしょうがなかっただろう。

 まだかな、まだかなと100回では足りないほど、時計をみながらため息をついて、それから寂しくなってしまって大変だったはずだ

 しかし、今日の彼女には強い味方があった。

 編み物だ。

 最初は、本を見ながら一目一目慎重に編み始めていたが、だんだん指が思い出してきて、小さな鼻歌と一緒に編めるようになってきた。

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