あの頃のあたし達
知哉から電話があった。
「もしもし?恵?」
「どうしたの?知哉?」
「あのさ、俺やっぱり無理だわ…。」
「何が無理なの?」
「かなと付き合っていくのが…。自分の気持ちに嘘をついて付き合うのがしんどいよ。」
「かなのことこの数ヶ月好きになれなかったの?」
「そう。無理だった。好きな恵が目の前にいるのに、好きでないのにかなと付き合ってる俺の気持ちが限界にきてる。やっぱり恵のこと好きなんだよ、俺。」
「あ…あたしもなの。あたしもほんとは知哉のこと好きで。」
「うれしいよ。でもどうしてうまくいかないんだろうな。俺、かなとは別れるわ。」
「どうしても?」
「あぁ。もう限界だよ。」
そう言って知哉は電話をきった。