あの頃のあたし達

夜遅く、かなから電話があった。


「あたし、知哉に別れようって言われたの。あたし、別れたくなかったのに…、知哉がもう無理だって。あたしがどんなに言っても無理で…。」


かなが泣いていた。あたしは理由を知っていたけど言うわけにもいかず、ただ黙ってかなの話を聞いていた。


かなの話は続く。


「ねぇ…あたしだけが好きだったのかな…。知哉ね、あれからあたしのこと求めてくれなくて。寂しかった。あたし、知哉がほんとは恵のこと好きなのかなって思ったこともあったの。そんなことないよね?」



< 65 / 83 >

この作品をシェア

pagetop