レンタルビデオの女
第二話
偶然か、それとも必然か・・・

自分では無意識のうちに通り過ぎた、人や物との小さな出会いがその人の人生を大き
く左右することがある。



これはある一本のレンタルビデオに運命を大きく動かされる一人の青年の物
語・・・・・







外を吹く北風がいっそう冷たさを増してきた2月のとある日、

達也は部屋にこもり、分厚い映画関係の教科書や参考書を前に一人悪戦苦闘してい
た。

この時期は達也が去年の春から通う大学の学年末試験の真っ最中だ。

達也は子供の頃からの夢である映画監督を目指すべく、映画の歴史や技術を学ぶ学部
に在籍している。



「え~と・・・去年大ヒットした映画「Ciel」で世界初の試み として使われた最新
のCG技術は何か答えよ。

 あぁ~~~なんだったっけな~~?これ。」



ガチャッ



「お兄ちゃ~ん。瞳、セーラームフーン見た~い。

 ビデオ!!ビデオ借りに行こ~よぉ~~~。」



瞳は大人気アニメ「セーラームフーン」が大好きだ。



「瞳~。ごめんな~。お兄ちゃん今勉強で忙しいから、また今度な。」
< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop