レンタルビデオの女
達也はグループワークという言葉にいい思い出がなく、この課題も対しても憂鬱な気
持ちが生まれた。



彼は小学生の頃、その内気な性格のせいかイジメにあった。

いつもグループ決めの時はあまり者になり、人数のたりないグループに先生に先導さ
れ入れてもらっていた。

体育の時も、調理実習の時も、修学旅行の時も。



そんな経験をしてしまったせいか、1年経った今でも達也には同じ学部に友達と呼べ
る人間はおらず、映画の世界に逃げ込む日々を送っていた。

そして今回のグループ決めも全く同じだった。

達也が入れてもらったグループの同級生たちは休みを裂いてまでして映画製作に取り
組むほど情熱的な人間達ではなく、達也は映画の脚本、タイトル決めなどほとんど全
ての仕事を押し付けられた。

達也は何も言わず引き受けた。



そんな目にあいながらも達也には不思議と怒りは生まれなかった。



彼には今、ひとつの強い希望があるからだ。

達也は近頃、とんでもないことを考えていた。


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