初恋ものがたり
「あっ…ありがとっ。」


つい素っ気なく言ってしまった。


ずっと読みたかった本だったし、賢志も覚えてくれていたから、


嬉しかったけど、


上手く感情を出せなかった。


今に始まったことじゃないけれど、成長するにつれてこの性格に磨きがかかっている気がしていた。


でも、賢志はこんな可愛げのない私に呆れたり、不満がったりすることはなかった。

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