ぎざじゅうの先輩。
先輩は特に何も話すことなく駅への道を進む。
何に付き合えばいいんですか?
聞こうと思ったけど、今の時点で会話がないから、無意味かなぁとか思ってやめた。
「おまえ定期あんだよな?」
「はい。多分先輩と同じ範囲で。」
「じゃぁ今日は中央な。」
中央ってのはこの辺では街って感じのところで。
ビルがあったり、レストランがあったり、観覧車があったり。
「え、てか。今日は、て、」
「おぉ、よく気付いたな。今日だけじゃ足りないの。」
「…私、普段部活ばっかなんです。」
「知ってる」
「だから先輩に費やしてばかりはいられないんです…けど…。」
ガッ
「ひゃっ!!」
つまずいたのに転ばなかったのは、
「ほらな?おまえ、これからも俺に費やさなきゃならんくなるよ。」
先輩が私の腕を掴んで支えてくれたから。
「まぁ大丈夫だ、俺もそんなに暇なわけじゃないし。おまえの付き合いもあるだろうし。心配すんな。」
「はい…。」