あわいろ
ただでさえここにいることに疑問を感じている上に仕事で疲れてるし慣れない人と一緒にいて疲れてるしで、どっと倦怠感が込み上げる
しばらく待っても高坂さんが出てこないから、仕方なくドアを開けて中に入る
からりんという音は綺麗だったけれど、心の底からめんどくさいなあと思いながらそのドアを閉めた
順番待ちの人が七、八人立っているのを見渡しても高坂さんの姿はなくて、まさかと思いながら席の方を覗き込む
(うそ)
狭そうに椅子に腰かける高坂さんがテーブルに頬杖をついているのを見て、慌ててそっちへ歩く
テーブルに近づくと、高坂さんが閉じたままのメニューをあたしに差し出した
「何にする」
「あ、ええと、」
受け取りながら席についてメニューを開く
(よく座れたなあ)
ちらりと高坂さんを伺ってみたものの、高坂さんもメニューに目を落としていて顔色はわからない
「俺ハンバーグセットにしよ、由香ちゃんは」
「オムライスにします」
言って、ドアの件を思い出す
きっと気の利かない人なんだろうと思って自分で店員さんを探したら、高坂さんが すんません と店員さんを呼んでくれて驚いた
「オムライス、と、ハンバーグセット、ライス大盛りで」
愛想良く店員さんに笑う高坂さんを見てぽかんとしてしまう
(やなひと、ではないのかな)
あたしの注文を先に言ってくれたことに少し照れくささを感じながら、高坂さんへの評価を変える
店員さんがメニューを持ち去って、沈黙が訪れた
(なに喋ろう)
(せっかくのランチなのに───あ、)
おしぼりとお冷を高坂さんの前に一つづつ置いて、あたしは口を開いた
「ここいつも混んでるから、来たことないんです」
「そうなん」
ありがと、と言って貰えて少し緊張がほぐれる
ジャケットを脱いだ高坂さんに少し照れながら、疑問に思っていたことを訊ねてみる
しばらく待っても高坂さんが出てこないから、仕方なくドアを開けて中に入る
からりんという音は綺麗だったけれど、心の底からめんどくさいなあと思いながらそのドアを閉めた
順番待ちの人が七、八人立っているのを見渡しても高坂さんの姿はなくて、まさかと思いながら席の方を覗き込む
(うそ)
狭そうに椅子に腰かける高坂さんがテーブルに頬杖をついているのを見て、慌ててそっちへ歩く
テーブルに近づくと、高坂さんが閉じたままのメニューをあたしに差し出した
「何にする」
「あ、ええと、」
受け取りながら席についてメニューを開く
(よく座れたなあ)
ちらりと高坂さんを伺ってみたものの、高坂さんもメニューに目を落としていて顔色はわからない
「俺ハンバーグセットにしよ、由香ちゃんは」
「オムライスにします」
言って、ドアの件を思い出す
きっと気の利かない人なんだろうと思って自分で店員さんを探したら、高坂さんが すんません と店員さんを呼んでくれて驚いた
「オムライス、と、ハンバーグセット、ライス大盛りで」
愛想良く店員さんに笑う高坂さんを見てぽかんとしてしまう
(やなひと、ではないのかな)
あたしの注文を先に言ってくれたことに少し照れくささを感じながら、高坂さんへの評価を変える
店員さんがメニューを持ち去って、沈黙が訪れた
(なに喋ろう)
(せっかくのランチなのに───あ、)
おしぼりとお冷を高坂さんの前に一つづつ置いて、あたしは口を開いた
「ここいつも混んでるから、来たことないんです」
「そうなん」
ありがと、と言って貰えて少し緊張がほぐれる
ジャケットを脱いだ高坂さんに少し照れながら、疑問に思っていたことを訊ねてみる