あわいろ
「常連さんなんですか?」
「なにが」
「ここの」
「誰が」
「高坂さんが」
「なんで」
単語のやり取りになってしまった会話にちょっと不満を抱きつつ、また口を開く
「ランチでも予約必要だったりするんですよ、ここ」
「へえ」
あくまでも木で鼻を括ったような返事しかしない高坂さんに、呆れてしまう
「だから、いつも来るのかなって思ったんです」
以上とばかりに言い切ってお冷を飲む
どれだけ美味しいお店のランチでも、友達と食べるあのお店のオムライスの方が美味しかったに決まってると心の中で悪態をつく
「来んよ」
言われてびっくりして高坂さんを見たら、高坂さんもこっちを見てた
「いちいち昼飯にこんなオサレなとこ、選んでられんもん俺」
放るように言われて、唖然とする
(なんて言い方すんの、店の人に聞こえたらどうすんだ)
笑って言った高坂さんが、とんとテーブルを叩いた
「なんちゅーか、今日は特別」
意味がわからなくて首を傾げてみせたら、ぱっと一瞬指をさされる
「こないだほれ、自分同じとこのアレにメシ奢ってもらっとったやろ」
「アレって、栗本さんですか?それでしたら先週」
「せやから俺もやったろ思ってな」
「なんですかそれ」
本当に意味がわからなくて、眉をよせてしまう