走り出せ、コスモス*
新しい恋?
「奈々~」
「はーい。ぶふ、早いね」
放課後、教室に唯が奈々ちゃんを迎えに来た。
「・・・!!」
唯は目を大きく見開いて奈々ちゃんをにらむ。
「おーっと、すいませーん」
あ、そっか。
部活ってことは、唯は田中先輩に堂々と会えるんだ。
そりゃ喜ぶよなあ。
何だか私も嬉しくなりながら、唯たちの後に教室から出て、少ししゃべりながら階段を降りた。
1階まで行って、体育館へ行く2人と別れて自転車置き場へ向かった。
肩から落ちそうになったスクバを、勢いをつけてもう一度肩にのせる。
顔をあげると、男の人と目が合った。
「あ、吉風さん。」
「…。ああ、田中先輩。」
唯の話でばっか登場してた田中先輩は、頭の中と現実では多少ズレができていた。
「あれ?今…分からなかったでしょ?」
「そんなことないですよ~!」
ははは…。って…。
不安そうな顔して聞いてくる田中先輩が
大変申し訳ないけど
ぶっちゃけちょっと
ウザかった。
そんな不安な顔するくらいなら聞かなきゃいいじゃん。
だけど、唯が楽しそうに田中先輩の魅力を語ってたのを思い出した。
あ、ああ そうだそうだ
この人はいい人なんだ… うん