走り出せ、コスモス*


エレベーターの中で、先生は手を離して、その手でしきりに私の肩や背中を触った

「びしょびしょだね、寒い?寒いよね」


すごいそわそわしてるの分かる

こんな先生みたの初めて

壁をカツカツ叩いたり、足踏みしたり

明らかに焦ってる


そんな先生を私はポーっと見てた


……3階……4階…


近づくにつれて、先生はカバンからカギを出して私の手を取った。



――――ピンポン――


その音がしてすぐ、先生は私の手を引いてエレベーターから出た

その手は強くて、歩くのもすごく早い


奥から2番目のドアの前で止まって、先生はすごい速さでドアを開けた


部屋に入ったら、あの

愛しいにおいに包まれた


なにここ… 天国?


息をいっぱい吸って幸せにひたっていると、靴も脱いでないのに中にひっぱられて

ひっぱり返しながらなんとかローファーを足から外したら

廊下にコロコロと2つ転がった


そのままひっぱられる


ど どこ行くの…?

カチッと電気をつけたら、そこはお風呂だった



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