走り出せ、コスモス*


「どう~~しても一高に行きたくて、毎日2時間かけて通ってた

船と電車と自転車フル活用でさ」

先生は食べ終わって、お箸を置いた


「それで大学から市内に引っ越して一人暮らししてんの

今までこの話してなかったっけね?」

「へえ~初耳…毎日2時間って大変だね」

「海が荒れた日とか船出なくて帰れなかったりしてさ

先生んち泊めてもらったりしたんだよね 懐かしいなぁ」

私も急いで食べなきゃ


「そういえばこの間沙枝ちゃんの運動会で学校に行ったとき、その先生がまだいて会ってびっくりしたよ

田所先生って、知ってる?」

「えー!田所せんせ!?」

びっくりして、ご飯を吹き出しそうになってしまった


「知ってる知ってる!今教えてもらってる!」

田所先生と先生が仲良しだったとは!

なんかすごい~~!


「そういえば、田所先生といえば今たしか新婚さんなんだよねっ」

「ふ…くく… そ、…だね」

「? どしたの?」

「あ、そんなに急いで食べなくていいよ」

気づかれてたのにびっくりして、逆にどうやって食べればいいのか分かんなくなった


「ふふ… ぶは」

「~? 何笑ってるの~?」

「いや…」

なんか楽しそうなこと知ってるんだなぁ~?

なんだよ~


じろじろ見る私に、観念したように先生はこっちを見た

「秘密だよ?実はさ、あの人

生徒と結婚したんだよね」

「え…、ええ~~~っ!?」



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