走り出せ、コスモス*
藤石から見た沙枝 3
ようやく体が冷めてきた
横から
小さな吐息が聞こえる
その声の元に
自分の分も布団をかけた
…しちゃったよ
隣で眠る愛しい少女を見ながら
俺がまず思ったこと
沙枝ちゃんとは
まだするつもりじゃなかった
まぁそりゃあ
したくなかったって言ったら
嘘だけど…
でもまだ我慢できる自信があった
沙枝ちゃんが大事だから
それに、するとしたら
初めてなんだから、すごくいい思い出になるようにしてあげたかった
誕生日とか、クリスマスとか
そんな特別な日に
きれいな風がふいて、いい音が聞こえるような
特別な場所で
そう思ってた
… なのに…
結果、こんなときに…こんな場所で
このアホっ子が、夜に俺んちで二人という最強の状況下で
「帰りたくない」とか最強のこと言うから…